いま社会で問題になっていること、ニュースで話題になっていることをアナタの「質問」「疑問」も含め、OKWAVE × NextPublishing 『いま、知りたいこと』編集部が当事者に取材をし、「答え」を出していただき、みなさまにその答えをお伝えするシリーズです。(「いま、知りたいこと」トップページへ
シリーズ① 原発再稼働 取材結果
原発再稼働、なぜ?

電子書籍になりました!

『原発再稼働、なぜ?
―国・行政が出した一つの結論』

■編者:インプレスR&D・OKWAVE特別編集部 編
■ISBN:978-4-8020-9050-6
■ページ数:本文94ページ(B5判)
■販売価格:電子書籍版 ¥700(税別)/印刷書籍版 ¥1,300(税別)
■発売日:2015年11月16日
■出版社:株式会社インプレスR&D

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経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関に「原発再稼働」についてみんなが気になる質問・疑問をぶつけてきました!!
今回の回答者 経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
はじめに
  • 確かに、原発が稼働ゼロでも日本は動いています。それなのに、ナゼ再稼働? 
    私たち自身が福島第一原発の事故で体験したように、一旦、放射性物質が大気中に放出されると、その悪影響は未来まで続きます。しかも、「方針」だけは決まっていますが、放射性廃棄物の最終処分については明確になっていません。
    その一方で原発が止まり、この間に電気料金は最大で4割も値上がりしました。火力発電による二酸化炭素排出も増え続け、過去最高となっています。
    このまま全ての原発を止めたまま廃炉にすると、どうなるのでしょうか。既存の大手電力会社は行き場のない核燃料と放射性廃棄物を管理しながら、原発を解体していくことになります。そうなると、電力料金の高騰どころか、日本経済にも甚大な影響を与えるのは必至です。
    現在、日本には商業用原子炉が46基あります。その内、15原発25基が原子力規制委員会の新規制基準への適合性確認の申請をしている最中です。
    電気なしに社会は成り立ちません。どうやって電力を安全により安く環境に配慮して、安定供給させるのか、しかも原発依存を可能な限り減らしながら。この命題に、「国・行政が出した一つの結論」を出しました。それが今回の皆さんの質問をもとに編集部でまとめた「原発再稼働、なぜ?」で明らかになっています。
1. 原子力発電に対する行政の取り組み
  • Q1日本には商業用原子炉が46基あります。なぜ、ここまで原子力発電を導入することになったのでしょうか?
    A 様々な条件が重なり、その中で日本は、ある種「必然的に」原発依存へと舵を切っていったのです。そもそも、1951年に原発は米国で誕生しました。その2年後にアイゼンハワー大統領が国連総会の演説で原子力の平和利用を訴え、世界中が原子力の平和利用に注目するようになります。その流れの中で、戦後復興と高度経済成長を目指す日本でも電力需要の急増に技術を持って対応するため、原子力発電の開発へと舵を切りました。1963年10月26日、日本でも米国から導入した動力試験炉で試験発電が成功。翌年には「原子力の日」が記念日に指定され、日本全体が新しいエネルギーに対して希望を持って受け入れたのです。さらに第1次、第2次石油危機を経て、エネルギー安全保障が強く意識されるようになり、原発依存度が高まっていくのでした。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
  • Q270年代半ばから、「安全神話」の下、受け入れられていた原発に対する反対運動が日本国内でも始まりました。そして1979年3月のスリーマイル島での原発事故、1986年4月にはチェルノブイリ原発事故などが起きました。そういった経緯の中で、原子力発電に対する行政の取り組みはどう変化してきたのでしょうか?
    A 1970年代に原発反対運動が起き始めましたが、日本は原子力発電を準国産エネルギーと位置づけ、推進を堅持しました。第一次石油危機後の1974年には発電所立地促進のための電源三法を整備し、第二次石油危機の1980年には「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」を成立させ、原子力発電の立地・開発を積極的に進めていきます。スリーマイル島事故とチェルノブイリ事故の発生、加えてエネルギー価格の安定という理由から米国では原子力発電所の新規建設がなくなるなど、原子力の平和利用は停滞していきます。しかし、日本は、エネルギー安全保障を高めるため、原子力政策及び原子力発電所の新規建設を続け、世界有数の原子力技術国となったのです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
2. 「電力会社と行政は癒着している?」のでしょうか?
  • Q3電力会社は掛かった費用を全て電力料金に乗せられる「総括原価方式」で守られていると聞きますが、実態はどうなっているのでしょうか。
    A 「国は電力会社を守っている」、「癒着しているのではないか」と批判する際に、その根拠の一つとしてよく出てくるのが「総括原価方式」制度です。この制度は社会基盤を整えるために、電気料金だけでなく、水道料金やガス料金を含めたライフラインを安定的に維持・確保し、しかも利用者の負担を抑えるために考えられたものなのです。ダム式発電や火力発電、原発など発電設備の建設には巨額の投資が必要です。同時に、社会のニーズに合わせて電力が安定供給されるように、発電・送電を担う電力会社の安定した継続性も考慮し、適正利益が出るように配慮されていました。それも過去で現在は事業者向けの「特別高圧」「高圧」は既に自由化され、競争原理の中で電気料金が決まるようになっています。およそ600社ともいわれる数の会社が、新電力会社として電力市場に参入しているといわれています。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
  • Q4よく原発の立地地域は潤うといわれることがあります。原子力発電所などの立地自治体向けにどのような優遇制度があるのでしょうか。また、こうした自治体はなぜ優遇されるのでしょうか。
    A つくられた発電関連施設がもたらす利益は必ずしも立地地域のみに落ちるものとは限りません。地域に大きな発電設備ができても、実際につくった電気のほとんどが他の地域で消費されています。これは原子力発電所に限ったことではありませんが、その地域で暮らす人は「他人のために電気をつくっているのに、地元福祉や地元経済の発展に結びつかないのはおかしいのでは」といった疑問を持ちやすくなっており、発電による恩恵を立地地域にも還元することが必要です。そこで、国は、いわゆる電源三法に基づき、原子力を始め、水力、地熱などの発電所が立地する自治体に対して交付金を交付し、自治体による地域振興策を通じて、発電用施設の建設や運用が円滑に進むようサポートする仕組みをつくっています。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
3. 日本の原発の安全性
  • Q5「世界で最も厳しい基準」という発言をする政治家もいますが、日本の原発に対する規制基準を諸外国と比較して説明してください。
    A 原発に対する「安全神話」は崩壊しました。どんなに厳しい規制基準があっても、それだから100%安全だとはいえません。日本では福島第一原発での事故を踏まえ、専門家による独立した機関で規制基準をつくり、審査する新たな体制を確立しました。規制基準に関しては福島第一原発事故以前の問題として、シビアアクシデント対策が規制の対象とされず十分な備えがなかったことなどが指摘されていたことを受けて、新たな規制基準では事業者に対してシビアアクシデント対策も含めた、以前より厳しい安全対策を講じることが義務化されることになりました。今回その独立機関で作成された新規制基準を諸外国の基準と比べても、原発の立地環境や原発の構造・開発世代等の違いがあるため、単純に比較することはできません。ただ、新規制基準には、他国にはない日本の自然を想定した厳しい基準で、その基準が全ての原発に適用されるという他にはない制度になっているのは確かです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
4. これからの日本の電力需給予測と電力供給体制の中の原発
  • Q6震災後の原発点検で、原発稼働ゼロになり一部で計画停電が行われました。その後、稼働ゼロでも計画停電せずに済んでいます。もし、原発再稼働ゼロが続くとどうなるのでしょうか。
    A 表面上、電力需給は満たされていますが、マイナス面も拡大してきています。そもそも、東日本大震災以前、全体の約30%の電力供給が原発によって賄(まかな)われていました。それが止まっているのです。しかも原発は発電しない状態でも維持費が掛かかっています。原発停止後の節電や省エネ分を差し引いた電力不足分は他の発電で補っています。太陽光発電などは発電コストも高く、天候変動もあり、一部分しか需要を補えません。旧式で稼働調整をしていたり、止めていた火力発電所を再稼働させるなどしてこの需要に対応しているのが現状です。しかも、その火力発電所の計画外停止が増加傾向にあるといいます。また、供給不足の補填の中心となる火力発電は、燃料代が掛かるだけでなく、震災前と比較して発電増加分だけ二酸化炭素を排出します。結果、電力料金の値上がりは続き、二酸化炭素の排出も増加してきているのです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
  • Q7今後、原発依存度を可能な限り下げ、しかも生活や産業を維持・発展させ、環境負荷を低減させるためには、どのような電力供給をすべきだと考えているのですか。
    A 安全であることを前提に、家庭用、業務用、産業用などの電力コストを抑え、安定供給し続け、かつ二酸化炭素排出を抑えながら、原発を限りなくどう削減していくのか、しかも、エネルギー安全保障を考えながら。これが命題です。確かにコストを掛ければ、問題の多くは解決します。しかし、それでは電気料金が上がってしまいます。2014年4月に策定された「エネルギー基本計画」の政策目標『3E + S』、「安全性/Safety」を大前提に3つのE「安定供給/ Energy security」「経済効率性の向上/ Economic efficiency」「環境への適合/Environment」を満たす「答え」、国・行政が出した「一つの結論」、それがこの「2030年(中長期)のエネルギーミックス(電源構成)」なのです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
5. 電力の安定供給 発電の種類別特徴と発電コスト比較
  • Q8原子力発電コストは安いと言われています。廃炉費用などを含めた上で、火力、水力、原子力、地熱、太陽光、風力、バイオの特徴と設備投資、発電コストを比較するとどうなるのか、教えてください。
    A よく原発の発電コストというと「放射性廃棄物の最終処分先さえ決まっていないのに、なぜ、原発の発電コストが安いといえるのか? 廃炉処分コストを入れていないのでは?」などの疑問が生じます。これらの想定コストを全て計算して組み込んだらどうなるのでしょうか。そういった要素を含めて政府が試算をした結果、原発はkWh(キロワットアワー)当たり10.1円となります。原発は大きな発電量を安定して出し続けることができるので効率がよく、水力の11.0円よりも安く発電できることになるわけです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
  • Q9再生エネルギーを普及させることは重要です。どうして太陽光などの再生可能エネルギーの買取価格の引き下げと再生エネルギー設備投資助成を見直すのですか。
    A これからの時代に必要な技術を普及させていくことに対して、国は補助・助成措置を講じます。このような取り組みは、様々な分野で幅広く行われています。その一つとして、太陽光発電の普及にも補助金や高い売電価格がついていました。しかし、事業リスクの非常に高い初期の立ち上げ時期も過ぎつつある現在、市場原理の中でフェアに競争すべき時期に入ってきました。また、平成24年度に「固定価格買取制度」が導入されて4年目となる本年度においては、国民が支払う賦課金負担は1kWh当たり1.58円(標準家庭月額で474円)となっており、今後も再生可能エネルギーの更なる導入によって追加負担が生じることが確実に見込まれています。こういったことを勘案し、実情に合わせた見直しも行われているのです。再生可能エネルギーの普及の中で顕在化してきたのは、地熱発電等リードタイムの長い電源の普及の遅れです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
6. 今後の取り組み
  • Q10原発稼働率をどう縮小させ、代替発電に切り替えていくのでしょうか。
    A 節電や省エネで効率のよいエネルギー社会にしながら、日本はエネルギー供給源を分散化させていく「多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造」の実現を目指しています。その中で原発を現実的な形で削減していくということです。特に発電量がまだ少ない地熱発電など、安定供給の可能性が高い再生可能エネルギーの開発・普及に注力すると同時に、火力発電についても、石炭火力発電の高効率化などにより二酸化炭素の排出を減らし、燃料調達では輸入先の分散と燃料自体の多様化にも取組み、国を挙げて日本の電力供給構造を変えていくことを目指していくということです。
    経済産業省資源エネルギー庁 他関係政府機関
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▼取材の元になったQ&Aはこちら
第1回目のテーマは「原発再稼働」になります。OKWAVE内でも、原発再稼働に関して、下記のようなQ&Aが沢山投稿されていて関心が高いテーマです。 震災からまもなく4年が経つ今、改めてこの「原発再稼働」について皆さんと一緒に考えたいと思います。皆さんの感じている「質問」「疑問」を、ぜひ投稿してください。
原発再稼働についてみんなが知りたいこと
原発再稼働、なぜ?

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『原発再稼働、なぜ?
―国・行政が出した一つの結論』

■編者:インプレスR&D・OKWAVE特別編集部 編
■ISBN:978-4-8020-9050-6
■ページ数:本文94ページ(B5判)
■販売価格:電子書籍版 ¥700(税別)/印刷書籍版 ¥1,300(税別)
■発売日:2015年11月16日
■出版社:株式会社インプレスR&D

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